Our Research

燃料電池関連技術

次世代型燃料電池と新規電解質材料の開発(PCFC)

 本研究室では、新規なエネルギーシステムの提案を目指し、無機プロトン伝導体を電解質に用いた燃料電池の開発に取り組んでいます。
 
 現在最も発電効率の高い燃料電池は、酸化物イオンをキャリア(電荷担体)とした、固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)ですが、本研究室ではさらなる発電効率の上昇を目指し、プロトン伝導性の電解質膜を用いた新型燃料電池(PCFC: Proton-conducting Ceramic Fuel Cells)の開発に取り組んでいます。PCFCはペロブスカイト型の構造(ABO₃)を有する電解質材料が低温域(400-600℃)にて最大の導電率を有する為、800-1000℃程度で作動する現状の固体酸化物型燃料電池(SOFC)と比較すると、より小規模スケールでのシステム設計が可能となります。また、PCFCでは空気極において水蒸気が発生するため、SOFCに比べてより高い燃料利用率での制御が可能となることから、セル電圧の向上が期待できます。これらの特徴を生かした高効率なエネルギーシステムの創造に向けて、新規電解質材料の開発、高活性電極材料の探索や電極反応機構の解明に取り組んでいます。
 
 本研究室では、電気化学的エネルギー変換・貯蔵技術の基礎となる新たなプロトン伝導性固体電解質の材料開発と薄膜型のPCFCの開発を進めています。とりわけ、材料界面での輸送現象や、電子、ホール伝導を含めたキャリア輸送特性の制御に着眼したセル設計により、実デバイスの高性能化に貢献することを目指しています。
 
 材料開発の一例として、近年では上述したペロブスカイト型酸化物において生じていたリーク電流の問題に対し、非ペロブスカイト型であるLa系プロトン伝導性酸化物La28 – xW4+xO54+3x/2 (LWO)の合成により、ホール伝導率が抑制され、他のプロトン伝導体と比較して、非常に高い発電効率を実現できる可能性を見出しました。
 
 

 
図 新規電解質材料の検討とPCFC単セルデザイン

 

本研究に関連する実験装置

PLD(Pulsed Laser Deposition)装置

 異種の酸化物薄膜の積層に用いられています。目的物質の焼結体ターゲットにパルスレーザーを照射してプルームを発生させ、基板上に堆積させることで、厚さ数百nm~数μmの電解質膜を成膜します。
 

 
    
図 PLD装置の外観とターゲットから放出されるプルーム
 

薄膜表面評価装置(環境制御型SPM-KFM)

 PLD法で作製した薄膜試料等の異種材料界面におけるポテンシャル分布や輸送特性を測定します。環境制御型走査型プローブ顕微鏡(SPM)と原子間力顕微鏡法(AFM)による表面形状観察やケルビプローブフォース顕微鏡法(KFM)による表面電位測定などの手法を用いています
 

図 SPM-KFM装置の外観

 

燃料電池発電装置

 作製したセルは2室の発電装置でその発電特性を評価します。

図 発電装置の外観