文化、そして日本の(世界の)男女関係とは!

本日は、文化について、Newstetter先生と共に、改めて考えていきました。(Newstetter先生による前回の文化についての講義: http://www.tse.ens.titech.ac.jp/~jspsd/day_2/)


写真 Newstetter先生の講義の様子

文化には、様々な定義があります。これまでものJSPSDの講義でも、グループや個人で文化とは何か考えてきましたが、本日の授業では、文化の捉え方が視点によってどのように変わるかを見ていきました。

その上で、まずNewstetter先生は以下の文化の定義を紹介しました。
“Culture is the collective programming of the mind that distinguishes the members of one group or category of people from others”
(文化は、あるグループの人々、または、あるカテゴリーの人々を、他と区別するマインドのプログラミングである)

同じ物事に対して、人によって捉え方が違うのは、この文化、つまり “他と区別するもの”があるからです。この定義では、文化は、個々それぞれが持つ、レンズやフィルターのようなものだと例えられ、それぞれ個人がそれらを通して物事を捉えている、と理解しました。これを受け、文化はアルゴリズムのようだ、と発言している学生もいました。

この定義について、クラス全体で、いくつかの意見を共有しあった上で、Newstetter先生が好きな文化の定義として、以下の定義を紹介してくださいました。
“Culture is the interpreted procedure that we individually use to make sense of everyday’s world”
文化は、毎日の世界を理解するために、私たちが個別に使用する解釈された手順である)

その後、人類学者(Clyde Kluckhohn、Edward Hall)が、人類学の視点から見た文化、また、社会学者(F. Kluckhohn、 F. Strodtbeck、Talcott Parsons、Edward Shils)が社会学の視点から見た文化、について学びました。

様々な文化の捉え方を学んでいく中で、時に、内容を見ただけでは、よく理解のできないものがありました。しかし、それが人類学者(または、社会学者)によるものという視点で見ると理解が出来る、という内容がいくつかありました。これは、異文化交流、友情関係など、多くのものに通ずると感じました。はじめは理解出来ない相手の行動も、その人の持つ ”フィルター” を通して見ることで、理解できるようになるという事は、私個人としても、今までに何度か経験があります。

最後に、これらを理解した上で、以前もNewstetter先生の講義でもあった、コミュニケーション、空間、時間、柔軟性(普遍主義 vs 特定主義)、オリエンテーション(自己的 vs 集団的)などについて、一つ一つ、クラス皆で考えていきました。JSPSDにはパキスタン、タイ、インドネシア、モンゴル出身の学生がいます。Newstetter先生はアメリカと日本だけでなく、全ての学生の母国でこれらがどう捉えられているのか、尋ねていました。同じアジア内でも大きく異なる文化の違いを、お互いから学びあえた貴重な機会となりました。時には、驚きの声や笑い声が上がり、この文化共有の時間を、学生達もとても楽しめたようでした。

講義の後は、日本人の考え方・理性についてのディスカッションが開かれました。このディスカッションもこれが最後となります。

本日、ディスカッションをリードすることになっていたのは GT生のErin、Niallペアでトピックは、男女関係。(前回のディスカッションの様子:http://www.tse.ens.titech.ac.jp/~jspsd/2018_japanese_mind_discussion/


写真 ディスカッションの様子

「日本は昔、女性は常に家で家事や子育てをし、男性が外に出て仕事するという事があったが、今はどうか」、という質問から始まり、ディスカッションは、女性の社会地位、高齢化、性教育、結婚生活、デート、お見合い、子育て、と議題が絶えませんでした。

この男女関係というテーマ一つに対して、
ー日本に来て数週間のGT生から、
ー日本に来て数年の東工大生から、
ー日本で育った東工大生から、
ー日本に過去に住んでいたことのあるGTの先生方から、


などと、本当に多様な視点からの経験談や疑問が飛び交い、大いに盛り上がるディスカッションとなりました。

Newstetter先生は今週末に、アメリカに帰国されるという事で、本日の講義が、JSPSD2018においてNewstetter先生が教える最後の授業となりました。Newstetter先生、ありがとうございました。

記録:庄司 (Kanaha Shoji)
2018年5月ジョージア工科大学、環境工学部を卒業。JSPSD2018を研究員として補佐。