グローバル開発における政策主体

2018/6/20

本日の前半はWoodall教授によるグローバル開発における政策主体(Policy actors)と多国籍企業(MNCs)についての講義でした。

グローバル化がますます進展する現代において、ある国での問題は、世界の問題という事も少なくありません。例えば、石油、天然ガス、などのエネルギー関連の問題は、環境や政治問題とも絡み、国境を越えて、様々な形で世界に影響を与えています。このように、世界規模の結びつきが深まる中、様々な主体・セクターが国境を越えて存在し、政策作りに関わっています。Woodall教授の講義では、その様々な主体・セクターとは何か、具体的にはどういった団体が政策作りに関わる主体・セクターなのか、そして、それらの役割や存在意義について考えていきました。

例えば、政策主体として、学生達からは、NGOやMNCsが挙げられました。学生達は、Woodall教授による講義や、学生同士の意見交換を通して、それぞれの役割、長所・短所、また様々な段目について学びました。Woodall教授は、MCNsについては特に詳しく、日本初、アメリカ発の企業を主に例に挙げながら、それぞれの企業と国、政治、経済への関連性について、お話ししてくださいました。

その他、国連関係の団体や、国際金融機関などが、国際的な政策主体として挙げられました。こうした国際的な政策主体と比べながら、国内の政策主体である、市民社会、市場、国家についてのお話もありました。Woodall教授は、これらの国内の政策主体に関して、それぞれの役割を理解する上で、国ごとのcontext(文脈)の違いを理解することの大切さを強調していました。

後半はグループに分かれ、比較解析のプロジェクトに取り組みました。このプロジェクトは、日本、アメリカを含む3つ国以上を、文化、政策、歴史、経済、地形、人口、など様々な面で比較、分析し、そこから見えてくる問題とその解決策をまとめるというグループプロジェクトで、一週間後には、それらをまとめたレポートの提出とプレゼンテーションが控えています。

このプロジェクトの為に、ジョージア工科大学(GT)と東工大の学生混合の5人から6人のグループが割り当てられています。このグループは、以前、学生それぞれに、「環境、社会福祉、ヘルスケア、都市計画、法執行機関/公安」の5つのトピックから興味のある分野2つを選んでもらった結果を考慮して、先生達が作成してくださいました。人数の関係で、希望したトピックとは違うトピックの下、プロジェクトをやる事になった学生もいたようですが、それでも、積極的にグループワークに参加している様子が見受けられました。

写真 グループワークの様子

 

どのグループもまだ、このプロジェクトに対してどう進んでいけばいいのかはっきりとしておらず、メンバーで話し合い、それぞれの調査をしながら、今後の方針を探っているようでした。そのアプローチの方法は各グループ様々で、まずは3か国目を選び、それぞれの国について調査をするグループ、まずは与えられたトピックに関連する課題設定を進めるグループ、比較に用いる変数(Variables)を書き出しているグループなどが見受けられました。

授業終了の約1時間前には、グループワークを中断し、各グループの現状発表の時間が設けられました。本日は、Woodall教授の他、Newstetter先生とPedicino先生もこのグループワークの為に来てくださっており、各グループに多くのアドバイスを与え、コメントを残していました。

例えば、ヘルスケアがトピックのグループでは、フランスを3か国目として選び、調査を行っていました。その上で、彼らは「アメリカは、一人当たりのGDPやヘルスケアは日本やフランスに比べて高いのに、平均寿命が一番低い」というパズル(puzzle)に気が付いたそうです。今後は、その要因を調べるべく、各国の食生活、交通システム、安全性といった内容の変数(variables)に注目し、この3か国を比べていこうと考えていると発表していました。先生達からは、交通システムを見ていく上で、Watkins教授の講義にもあったモビリティ(mobility)に注目するのも面白いかもしれない、といったアドバイスをもらっていました。

その他のグループは、発表時点では、国は決まっていたものの、先生方からの指摘を受け、国を変える事になったり、取り組もうとしている課題があいまいであったりと、まだまだ初段階の調査やグループ内の意見交換が不足しているように見受けられる面もありました。グループによっては、一定の人が、少し単独行動に走っているようで、内容が定まっていない部分もありました。今日の先生方からの意見を参考にしながら、より深い研究調査と、情報の共有を、各グループ行っていってほしいです。

写真 グループで先生方に相談に乗ってもらっている様子(奥)