平成21年度から、日本で裁判員制度がスタートしました。裁判員とプロの裁判官との間には、法律的知識や経験において大きな差異があるのは明らかですが、裁判の評議では、両者がこの違いを乗り越えて対等に話し合うことが求められています。
本研究はこの問題に着目し、法学、言語学、心理学、工学の分野から知見を持ちより、評議の構成員間で判断の基礎となる情報や枠組み、議論の状況を可視化し共有することがきわめて重要であることを明らかにしました。その上で、コミュニケーション研究の調査結果に依拠し、具体的な評議の進め方(付箋紙法、チャート法、ライブレコーディング、4相のことばの使いわけなど)を提言しました。
三島聡 編 2015 『 裁判員裁判の評議デザイン市民の知が活きる裁判をめざして』日本評論社
科研・裁判員評議
- 新刊:三島 聡, 野原 佳代子 他『裁判員裁判の評議デザイン 市民の知が活きる裁判をめざして』日本評論社 9. 2015.
- 論文出ました!野原 佳代子「裁判員裁判評議における素朴交渉発生の可能性と問題点-模擬評議「及川事件」の発話交換に発現する裁判官と裁判員の枠組みのずれ」『法と心理』8-1, 11. 2009.
- 論文出ました!大塚 裕子, 野原 佳代子(ダブル主著者) 「裁判員裁判における評議の進め方(中)議論はどのように整理するのか―困ったときの対処法」『判例時報』2052, 2009.
- 野原 佳代子, 森本 郁代, 三島 聡, 竹内 和弘「裁判員制度評議における評議デザイン論の展開③ 論告分析型評議の実現に向けて―具体的手法と評議設計における課題・展望」『法律時報』pp.84-95, 81-10, 9. 2009.
- Ikuyo Morimoto, Kayoko Nohara, Miki Saijo, Kotaro Takagi, Hiroko Otsuka, Kana Suzuki, Manabu Okumura “How Do Ordinary Japanese Reach Consensus in Group Discussion Making? Identifying and Analysing ‘Naive Negotiation’”, Group Decision and Negotiation, vol. 15, pp. 157-169, 2006.