Energy Securityとステークホルダーについて

2017/07/05 Wednesday

 

本日の全体の流れ:

本日の前半はWoodall先生によるレクチャーでした。テーマはEnergy Securityについてでした。後半は、東京とアトランタにおけるエネルギー問題についてのグループワークでした。

 

本日の講義:

本日の講義はWoodall先生による、エネルギーについてのものでした。まず、Energy SecurityとはNational Security, Economic Securityという他の領域とも深く関わるということが示されました。Energy Security について考察される要素は従来、Reliability, Accessibility, Stakeholdersなどに限られていたようですが、現在ではそれに加えてAcceptability、つまり社会的な受容についても考えられるようになったということでした。政府はEnergy Securityについて何をするのか、という質問に対して、生徒はインフラの整備、資源輸出入に関わる他国との交渉、組織の開設などを挙げていました。まず、Reliablityについては、エネルギー供給における危機について考えました。まずはエネルギー資源の輸入への依存が危機として挙げられました。例えば、日本はエネルギーの多くを輸入に頼っていますが、それはエネルギーを巡る環境が脆弱であるということを示しています。テロリズムも危機として挙げられました。テロリズムに関しては、Woodall先生がJRの社内アナウンスで表示される「不審物を見かけたら速やかに駅員にお知らせください」という言葉について言及されました。どの国でも、テロリズムが起こる可能性について考えなくてはならない状況になっているということです。Strategic chokepointsについても示されました。Chokepointとは石油などエネルギー資源を船で運送する際に通る狭い地域を指し、その地域の治安がEnergy Securityに関わるということです。Resource Nationalismも危機として挙げられ、特に1973年の石油危機の際に現れた国家主義について考えました。エネルギー資源を巡る競争も提示され、特に日本、中国、韓国間のエネルギーを巡る価格競争が示されました。その他には、消費の増加、自然災害、人的災害などもEnergy Securityの危機として挙げられました。

次に、Accessibilityについて考えました。エネルギーのAccessibilityを確保する戦略として、ある資源にかわる資源を利用することが挙げられました。例えば、日本では1973年の石油危機以降、原子力発電の利用が増加しました。その他には、消費を抑えること(「省エネ」)、戦略的な資源の備蓄、エネルギーのコストを考慮することなどが示されました。Acceptabilityについては、自分の裏庭に置くなら、原子力発電所、石油採掘場、石炭の炭鉱、風力発電の機械のどれが一番嫌かということについて考えました。クラスでは、原子力発電所と炭鉱がもっとも受け入れられないという結果になりました。原子力発電において発生する廃棄物の処理については、現在効果的な処理方法は確立されていないことが示されました。

ステークホルダーについても考えました。まず、ステークホルダーとは何かについて確認しました。ステークホルダーとは、何かについて興味や関心がある人々のことを指します。大きく分けて、組織的ステークホルダーとパルチザンステークホルダーに二分されます。組織的ステークホルダーの例としては、アメリカの国会や大統領が挙げられ、パルチザンステークホルダーの例としては日本の自民党が挙げられました。ステークホルダーは、基本的に国家、市場、市民社会の三つの領域に所属が分けられるということでした。国家レベルのアクターとしては、政府、エネルギー省、大統領などが挙げられます。市民社会レベルではNGOが挙げられました。市場レベルでは、電力会社や石油会社など企業が挙げられました。どのアクターも政策に影響を与えますが、特に市場レベルにおける大手の石油会社などは多額の資金を有する為政策への影響は大きいということでした。日本におけるステークホルダーについて生徒たちは、政府、政党、環境省、電力会社、鉄道会社、大学など様々な例を挙げていました。

 

グループワーク:

本日のグループワークでは、東京とアトランタをフィールドとしたEnergy Securityについてのプロジェクトについてのグループワークでした。あるグループでは、議論するテーマをエネルギー・環境保護の背景、排気ガスなど有害物質の削減、東京とアトランタから学べる事、ステークホルダーにとっての挑戦、国の政策、自然・人工的な災害という6つに絞っていました。それぞれの都市におけるエネルギーに関連したリスクとして、東京では自然災害、アトランタではステークホルダー間の衝突などが挙げられました。特に東京における自然災害の危険性の大きさは生徒たちが共通して持っている印象のようです。

持続可能なEnergy Securityを実現する為の戦略の一つとして教育が挙げられました。ある生徒は、日常生活においてエネルギーに関心を持つとすれば、お金に関わる側面だけではないかと疑問を持っていました。例えば、エアコンの使用を控える理由としては、やはり電気代を削減したいというのが大きいのではないかということでした。実際に寮では電気代も込みの支払いであった為、何も気にすることなくエアコンを使用していたとのことです。確かに、日常生活においてエネルギーのことを気にする大きな要因は、環境やエネルギーの安定の為というよりもそれにかかる費用なのかもしれません。そうであれば、どのように人々に納得してもらうのか、という点が難しくなってきますね。